2015年03月23日

(アーカイブ)2014年11月  エイジノミクス - 都道府県別順位

 高齢化をチャンスととらえ、活力ある高齢社会の実現に向けて頑張っている度合を、都道府県別に順位付けしてみた。評価の項目は、1人当たり県民所得、人口当たり出生率、高齢化率、高齢者就業率、健康長寿度合などである。結果、上位の県は以下の通りとなった。

1位 愛知県
2位 静岡県
3位 福井県
4位 長野県
5位 山梨県
6位 石川県
7位 広島県
8位 山口県
9位 栃木県
10位 富山県


 この順位付け、現時点では極めて大雑把なものであるが、今後より納得性の高いものに改良していきたいと思っている。

背景説明

 多くの人は高齢化に対して、「暗い」あるいは「衰退」といったイメージを持っているようだが、それは先入観である。実際イノベーションは変化の過程で起きる。エイジングすなわち人口構造の変化、これはイノベーションの機会である。日本をはじめ世界的に高齢化が進む中、経済の持続可能な発展に向けた道筋を改めて探るべきではないか。まさにそれこそがエイジノミクスである。

 先端医療技術の進歩など技術的ブレークスルーはイノベーションを生み出す。しかし技術だけではない。例えば高齢化は、分厚く多様でアクティブな高齢層が新たに生まれる変化である。新たなライフスタイルやワークスタイル、あるいはエンディングスタイルが登場する。また高齢社会対応のインフラや地域支援制度等新たな社会システムへの移行、共助文化の醸成、あるいは多世代共創による新たな相乗効果の創造など、すべてがイノベーションを生み出す機会となる。まさにエイジングはイノベーションの宝庫である。

 いよいよ本格的な超高齢社会を迎える日本。これからの日本は、かつての1回きりの人生「単作時代」から、平均寿命90歳を超える人生「二毛作時代」へと向かう。そしてイノベーションの機会も2倍に増える。来るべき未来で待っているのは暗く衰退する社会ではない。イノベーションに満ち溢れた、明るく活力ある社会である。そんな超高齢社会を実現することを、高齢化で先頭を走る日本が世界に向けて宣言しよう。

2014年11月5日 日本シンクタンクアカデミー 理事長 岡本憲之
posted by 毎月コラム at 11:23| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

(アーカイブ)2014年7月  エイジング・イノベーション -明るく活力ある超高齢社会を-

 今後、東京など大都市部では急速に高齢化が進むと言われている。一方の地方では、高齢化に加え既に人口減少が始まっている。民間の有識者からなる日本創成会議は、2040年に896市区町村が消滅する恐れがあると試算した。いわゆる増田リストである。この発表は各方面に大きな衝撃を与えた。経済財政諮問会議の専門調査会である「選択する未来」委員会も、50年後の日本の人口を1億人程度に保持すべきであるとの考え方を示した。国も人口減少に歯止めをかけようと躍起になり始めたようだ。その背景には、生産年齢人口の減少が、経済を停滞させ国力の低下を招くとの危機感がある。

 問題はその対策である。政府が打ち出そうとしている政策は、とにかく人口を増やすことだけを考えている節がある。もちろん人口減少に歯止めをかけるためにも、子供を産み、子供を育てやすくする環境の整備は極めて重要である。しかし本当にそれだけでよいのだろうか。経済学者の吉川洋氏は、実は人口と経済成長との間には強い相関は見られないと言っている。そして経済成長に最も影響を与えるのはイノベーションであるとも。

 多くの人は少子高齢化に対して、「暗い」あるいは「衰退」といったイメージを持っているようだが、それは先入観かもしれない。実際、高齢化は医療技術の進歩や経済の発展、そして平和の持続によってもたらされた。また、イノベーションは変化の過程で起きる。エイジングすなわち人口構成の変化、これはイノベーションのチャンスかもしれないのである。

 先端医療技術の進歩など技術的ブレークスルーはイノベーションを生み出す。しかし技術だけではない。例えば高齢化は、分厚く多様なシニア層が新たに生まれる変化である。それは新たな需要層の誕生でもある。この需要層を捉えることこそイノベーションである。新たなライフスタイルやワークスタイル、あるいはエンディングスタイルすら登場する。さらに高齢社会対応のインフラや制度等新たな社会システムへの移行、あるいは世代間連携による新たな相乗効果の創造など、すべてがイノベーションをもたらす。まさにエイジングはイノベーションの宝庫と考えるべきである。

 いよいよ本格的な超高齢社会を迎える日本。これからの日本は、平均寿命60年の一度きりの人生「単作時代」から、平均寿命90年の二回の人生「二毛作時代」へと向かう。そしてイノベーションのチャンスも2倍に増える。来るべき未来で待っているのは暗く衰退する社会ではない。イノベーションに満ち溢れた、明るく活力ある社会である。そんな超高齢社会を、高齢化で先頭を走る日本が世界で最初に実現したいものである。

2014年7月1日 日本シンクタンクアカデミー 理事長 岡本憲之
posted by 毎月コラム at 11:17| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

(アーカイブ)2014年6月  アクティブ・エイジング - もたれ合いの社会から支え合いの社会へ

 最近、「アクティブ・エイジング」なる言葉をしばしば耳にする。文字通り訳せば、活動的に年齢を重ねるといった意味合いであるが、世界保健機関(WHO)では次のようなヴィジョンを実現するプロセスを「アクティブ・エイジング」という用語で呼ぶことにしている。(WHO編著、日本生活協同組合連合会医療部会訳:WHO「アクティブ・エイジング」の提唱:萌文社、2007)

 アクティブ・エイジングとは、人々が歳を重ねても生活の質が向上するように、健康、参加、安全の機会を最適化するプロセスである。つまり、有意義に歳をとるには、長くなった人生において健康で、社会に参加し、安全に生活する最適な機会が常に無ければならない。さらに、WHOは同じ報告の中で次のようにも述べている。

 「アクティブ」という言葉は、社会的、経済的、文化的、精神的、市民的な事柄への継続的な参加を指し、身体的に活動的でいられることや、労働に従事する能力を持っていることだけを指すのではない。仕事から引退した高齢者や病気の人、身体障害を持つ人であっても、自分の家族、仲間、地域社会、国に積極的に貢献し続けることはできる。健康寿命を伸ばし、すべての人々が老後に生活の質を上げていけることがアクティブ・エイジングの目的である。これには、体の弱い人、障害を持つ人、ケアを必要とする人も含まれる。

 中略

 老後に自律性と自立性を維持することは個人にとっても政策決定者にとっても重要な目標である。さらに高齢化は、友人関係、仕事上の付き合い、隣人や家族など、他者との関係の中で起きるものである。それゆえに、相互依存だけでなく世代間の連帯(個人間だけでなく高齢者と若い世代との間も含む二重のギブ・アンド・テイク関係)が、アクティブ・エイジングの重要な理念となる。

 以上のWHOの報告の背景には、すでに一部の先進国や新興国などで表面化してきている問題があるのではないか。それは高齢化と少子化が同時に進んでいることである。現役世代が引退(高齢)世代を支えるといったこれまでの社会の仕組みが成り立たなくなってきている。言い換えれば、高齢になっても最後まで社会の支え手であり続けなければならなくなってきた。例えば欧州連合(EU)は2012年を「アクティブ・エイジングと世代間の連帯のための欧州年」と定め、高齢化社会への対応を抜本的に見直そうとしている。それは、若者が高齢者を支えるという従来の社会通念から脱し、老若共に支え合う社会へのパラダイム転換を目指すものだ。(駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジンより)

 高齢者を含むすべての世代の人々が社会を支える意識を持つことは重要である。どんな些細なことでも構わない。仮に寝たきりになってしまった高齢者でも、自分の意思を表現することができる限り社会貢献は可能である。例えば、自分の世話をしてくれる介護者に感謝の気持ちを表すだけでも、介護者の気持ちを支えることになり立派な社会貢献である。

 日本のように少子化を伴って高齢化が進む社会において重要なことは、従来の単なるエイジングからアクティブ・エイジングへと、すべての世代の人々が意識を変えること。すなわち「もたれ合いの社会から支え合いの社会へ」の意識改革ではないだろうか。

2014年6月9日 日本シンクタンクアカデミー 理事長 岡本憲之
posted by 毎月コラム at 11:14| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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